副作用を惹き起こす?惹き起こさない?生体物質との相互作用のわずかな違い

研究成果

現在、当研究室では、医薬品に使用される薬物が引き起こす副作用のうち、生体内の「リン脂質」とよばれる成分が過剰に蓄積してしまう副作用について研究しています。リン脂質自体は生命維持に必要な物質ですが、過剰に蓄積してしまうと心臓や肺、腎、肝、皮膚などに障害をもたらします。惹き起こす危険性の高い薬物を創らないために、惹き起こす薬物とそうでない薬物との違いを詳しく知ることが重要になります。

我々は、薬物とリン脂質との相互作用をより詳細に解析することで、これまでより正確に副作用を惹き起こすかどうかを判別することを可能にし、「第51回日本毒性学会学術年会」にて発表しました。薬物が、リン脂質の極性頭部と呼ばれる部分に、イオン性相互作用ではない相互作用でどれだけ強く結合するかが、副作用を起こすかどうかに関連している可能性が示唆されています。